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大阪地方裁判所 昭和38年(ワ)2684号 判決 1967年4月11日

主文

別紙目録記載の土地建物について、原告と被告とが各二分の一の持分の共有権を有することを確認する。

別紙目録記載の土地建物を競売し、競落の代金の中から競売の費用を控除した残金を、原告と被告とに各二分の一づつ分配する。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実

第一、申立

一、原告

主文同旨の判決。

二、被告

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

との判決。

第二、原告の請求原因

一、別紙目録記載の土地(以下、本件土地という。)は、もと訴外津田クニの所有であつたが、昭和三一年九月四日同人が死亡し、相続により、その養子である訴外村井義典ならびに被告が各持分二分の一をもつて共有することとなつた(訴状添付甲第一号証の一参照)。

別紙目録記載の建物(以下、本件建物という。)は、もと訴外津田義一の所有であつたところ、昭和二五年一月一三日同人が死亡し、相続によりその妻であるクニが持分六分の二、義一の養子である義典ならびに被告が各持分六分の二をもつて、これを共有することになつたが、昭和三一年九月四日クニが死亡し、相続により、前記クニの持分六分の二は、六分の一づつ、義典ならびに被告に移転し、結局、義典ならびに被告が各持分二分の一をもつて共有するところとなつた(訴状添付甲第一号証の二参照)。

二、昭和三四年一一月一四日、義典と原告との間において、義典が原告に対し前記本件土地建物の各持分二分の一を贈与する旨の契約を締結したので、原告は右各持分権者となつた。

原告は同月一六日、本件土地建物につき右各持分の所有権移転登記を経由した。

三、ところが、原告と被告との間で本件土地建物の分割について、被告は原告が持分権者であることを争い、協議が調わないので、裁判所にその分割の実現を求めるのであるが、本件土地建物は、現物をもつて分割することができないか、または分割によつて著しくその価格を損するので、本件土地建物の競売を命ずることを求める。

第三、右請求原因に対する被告の答弁と主張

一、請求原因の事実中、原告主張の登記の存在することは認めるが、その余は否認する。

二、主張

(一)  仮に原告主張の贈与契約が締結されたとしても、右贈与は、申立人被告、相手方義典間の大阪家庭裁判所昭和三三年(家イ)第一一七〇号、第一一七一号相続登記抹消請求ならびに遺産分割調停事件につき、昭和三三年七月一八日、同家庭裁判所調停委員会が調停前の処分として、義典に対し本件土地建物等の処分の禁止を命じていたのに義典が右命令に違反してなしたものであるから、無効である。

(二)  仮に原告主張の贈与契約が締結されたとしても、右贈与は、訴訟行為をなさしむることを主たる目的とするから、信託法一一条に違反し、無効である。

第四、証拠(省略)

別紙

物件目録

第一、

高槻市大字津之江四三三番地

一、宅地 三〇四・六六平方メートル(九二坪一合六勺)

第二、

高槻市大字津之江四三四番地上

家屋番号第七〇番

第一号

一、木造瓦葺平家建居宅一棟

建坪 六三・一〇平方メートル(一九坪九勺)

附属建物第二号

一、木造瓦葺平家建居宅一棟

建坪 六九・〇二平方メートル(二〇坪八合八勺)

同第三号

一、木造瓦葺平家建居宅一棟

建坪 一〇・六一平方メートル(三坪二合一勺)

同第四号

一、木造瓦葺二階建倉庫一棟

建坪 一三・六一平方メートル(四坪一合二勺)

二階坪 一二・二三平方メートル(三坪七合)

同第五号

一、木造瓦葺平家建倉庫一棟

建坪 一六・一六平方メートル(四坪八合九勺)

同第六号

一、木造瓦葺平家建物置一棟

建坪 四〇・六六平方メートル(一二坪三合)

同第七号

一、木造瓦葺平家建物置一棟

建坪 二六・六一平方メートル(八坪五勺)

同第八号

一、木造瓦葺平家建物置一棟

建坪 三・七〇平方メートル(一坪一合二勺)

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